ライセンス認証:Feng Zhang Laboratory at the Broad Institute
Enhanced SpCas9:オフターゲット作用を低減
CRISPR-Cas9システムによるゲノム編集は、遺伝子ノックイン/アウトや正確かつ明確な塩基改変、遺伝子組換えを始めとする様々アプリケーションに急速に利用されています。 CRISPR-Cas9は、そのデザインやカスタム化が容易であり、または比較的安価であることから、TALENやジンクフィンガーヌクレアーゼなどの他の遺伝子編集技術よりも優位です。
Genscriptは、MIT&Harvardに所属しているBroad Instituteより、CRISPR技術をライセンスされています。当社の製品には、最新のCRISPRプラスミドと、CRISPR研究の先駆者であるFeng Zhang研究室によって開発されたデータベースが含まれています。 Broad Instituteより検証したプラスミドは、CRISPR/Cas9を発現するのによくテストされたプラットフォームであり、RNAベースのプラットフォームにおける不安定性を低減しています。
GenScriptは、Broad Instituteより事前に検証されたガイドRNA(gRNA)配列を含む2万件以上のlentiCRISPRv2プラスミドコレクションを所持しています。
Enhanced SpCas9(K848A / K1003A / R1060A)とも呼ばれるSpCas9(eSpCas9)は、Broad InstituteのFeng Zhang研究室( Slaymaker et al. 2016 )により、標的特異性を改善するために設計されています。 eSpCas9はゲノム編集効率を維持しながら、オフターゲット効果を10分の1以下に低減することができます。続き>>
Cas9ゲノム編集はDNA二本鎖の分離に依存しています。 sgRNAと標的化されていないDNA配列とのミスマッチは、非特異的結合および切断を引き起こします。 ゲノム編集の特異性を改善するため、突然変異K848A、K1003A、およびR1060Aを有するSpCas9が開発されました。 SpCas9の非標的鎖溝内に残基の持つ荷電を中和することで、非標的結合を弱め、より厳密な塩基対形成を必要とするオンターゲット結合を促進します。
Cas9エンドヌクレアーゼは遺伝子編集研究の標準です。ガイドRNA(sgRNA)配列と結合し、これらの酵素はゲノム中に部位特異的二本鎖切断(DSB)を作ります。 続き>>
SpCas9 nickase (Cas9n D10A)は、DSBと対照的に、エンドヌクレアーゼより一本鎖ニックの形成することを可能にする突然変異を有しています。 2本の向かい合うgRNA配列とSpCas9 nickaseとペアリングすることで、望ましくないindelsの形成を防ぐ遺伝子編集の効率的な方法です。
Staphylococcus aureus Cas9 オーソログ(SaCas9)は、アデノ随伴ウイルス(AAV)に適用するエンドヌクレアーゼです。 SaCas9はSpCas9より約1kb短く、AAVパッケージングの柔軟性を提供します。 AAVベクターのより低い免疫原性は、SaCas9をインビボで用いる実験に適しています。続き>>
CRISPR / Cas9 Synergistic Activation Mediator(SAM)システムは、下流標的の転写活性化を可能にするように設計されています。 SAMシステムは、転写を駆動する触媒的にdead Cas9(dCas9)複合体上に組み立てられた3つの異なる活性化因子、VP64、P65、およびHSF1を利用します。続き>>
Broad Instituteプラスミドは、Harvard&MITに所属しているBroad Instituteより作製しています。 これらのプラスミドにはカスタマイズされたsgRNA配列の代わりに17bp〜1.8kbの発現可能なリンカーが含まれています。これは研究室で修飾することができます
TypeII CRISPRシステムにおけるS.pyogenes(SpCas9)由来のCas9エンドヌクレアーゼは、哺乳動物のゲノム編集用として最初に開発されたCas9酵素です。ガイドRNA(gRNA)と複合体を形成することにより、Cas9酵素がゲノムの特異的部位を二本鎖切断(DSB)します。CRISPR/Cas9システムは、簡便で特異的かつ高効率であることから、ゲノム編集を迅速に行うことが可能です。弊社の野生型SpCas9複合体は、哺乳動物細胞におけるゲノム編集用に開発され、Broad Instituteにより検証されています。このシステムは、all-in-oneベクターまたはデュアルベクターの形態で使用可能で、非ウイルス性、レンチウイルス、またはアデノウィルス(AAV)の各ベクターによるトランスフェクションに対応しています。レンチウイルスベクターは、第2および第3世代いずれのレンチウイルスパッケージングプラスミドにも適合しています。
CRISPR/Cas9システムによるゲノム編集の特異性は、依然として他の一般的なゲノム編集より優れていますが、オフターゲット効果については懸念が残ります。このため、特異性を改善するために、SpCas9ニッカーゼベクターではCas9のエンドヌクレアーゼ活性が変更されています。野生型Cas9に存在する2つのドメイン(RuvCとHNH)内に変異(RuvCのD10AとHNHのH840A)が導入されることによりCas9酵素が二本鎖を切断することはなく、一本鎖にニック(SSB)が入るだけになります(Ran et al, 2013)。このニッカーゼ活性を有するCas9酵素は、gRNAによりゲノムDNAターゲット部位と対峙する位置に誘導されます。細胞内で生じたSSBは、NHEJよりもHDRにより修復されるため、オフターゲットによる不測のインデル変異が生じる可能性を最小限にすることができます。弊社の哺乳動物細胞用のゲノム編集ニッカーゼベクターは、Broad Instituteにより検証されています。
Staphylococcus aureus由来のCas9オルソログであるSaCas9は、SpCas9よりも遺伝子サイズが約1kb短いものの、SpCas9と同様の活性を有しています。
SaCas9の主な利点は、アデノ随伴ウイルス(AAV)によるパッケージングが可能なことです。AAVの挿入可能な遺伝子サイズは約4.5kbであるため、SpCas9をこのベクターにパッケージングすることは困難です(Ran et al, 2015)。しかし、SaCas9はゲノムサイズが小さいため、AAVを用いたCRISPRによるゲノム編集が可能になります。また、この複合体は免疫原性が低いことから、SaCas9は臨床応用のゲノム編集に適していることも考えられます。
CRISPR/Cas9 Synergistic Activation Mediator(SAM)は、内在性遺伝子の転写活性を亢進するために作製される複合体で、細胞内の10遺伝子までを同時に転写させることができます。SAMは、gRNAにより誘導されることで、内在性ゲノムDNAに対する特異的なターゲティングが可能です。弊社のSAM gRNAシークエンスは、Broad InstituteよりライセンスされたヒトゲノムDNAの全コーディング領域をターゲットとしており、その他すべての生物種についても同様にSAM gRNAがデザインされています。
カスタム合成されたSAM gRNAはレンチウイルスによって効率的にクローン化され、その後Cas9-VP64およびMS2-P65-HSF1と複合体を形成します。
CRISPR Handbook
実験の精度を高めターゲットを確実にノックアウトするには、最低でも3種類のgRNAを用意することをお奨めします。同一のターゲット遺伝子に対して複数のノックアウト変異体を作ることが、オフターゲット効果に対する予防策になります。
弊社のgRNAデータベースとオンラインデザインツールを使用することで、迷うことなくgRNAをデザインすることができます。
デュアルベクターではgRNAとCas9が別々に発現されるため、ターゲットが複数でそれに対応する複数のgRNA発現を計画している場合に適しています。この場合、細胞内でまずCas9を発現させ、その後、gRNAベクターを導入してgRNAを発現させることにより、トランスフェクションされた細胞プールを作製します。
SpCas9ニッカーゼベクターは、オフターゲットを生じ易い試料のゲノム編集に有用です。但し、DNAのフォワードおよびリバースの両鎖をターゲットとするgRNAのデザインが必要になります。これらのgRNAシークエンスは、ともにPAM部位から離れた部位がターゲットになるようにデザインされていなければなりません。それぞれのgRNAシークエンスは、最大100bpの間隔を空ける必要があります。
SAM転写活性の亢進には、gRNAは転写開始点(TSS)の直上流200bpの部位をターゲットにする必要があります。転写活性のレベルを下げるには、SAM複合体がTSSのさらに上流に誘導されるようgRNAシークエンスをデザインします。転写活性を抑制するには、SAM複合体がTSSの50bp下流に誘導されるようgRNAシークエンスをデザインします。
弊社にはゲノムワイドのSAM gRNAデータベースがあり、その中にはヒトゲノムのコーディング領域を活性化するようにデザインされた6種類のSAM gRNAが含まれています。その他の生物種についてのご相談は、弊社までご連絡下さい。 既にある日本語の人工遺伝子合成のHPの文言に寄せた場合。