概要

弊社では、研究者の様々な要望に応えるため多種類のペプチド修飾を行っています。ペプチドを修飾することにより、安定性を向上させ、生物学的機能解明のために構造を変更し、さらに抗体の開発や製造のために免疫原性を増強させることが可能です。ペプチドの末端や内部に対する様々な修飾に加え、イメージングや検出のニーズに対応するためのペプチド標識やペプチド‐タンパク質の複合体作製も行っています。

以下は弊社が提供するペプチド修飾の種類

  • N末端修飾
    BSA conjugation on N terminal -NH2 KLH conjugation on N terminal -NH2 OVA conjugation on N terminal -NH2 Acetylation
    Biotin Biotin-Ahx 5-FAM 5-FAM-Ahx
    6-FAM 6-FAM-Ahx 2-Abz 4-Abz
    Cy3 Cy5 Cy5.5 Cy7
    DABCYL Dansyl Dansyl-Ahx FITC-Ahx
    FITC-PEG2 5-TMR 6-TMR Rhodamine B
    MCA 3-Maleimide 6-Maleimide SMCC
    Acryl Alloc Benzoyl CBZ
    Fmoc Br-Ac Cl-Ac Aminooxy
    DOTA NOTA 1-Nap 2-Nap
    Succinylation Glutaric acid Butyric acid,C4 Hexanoic acid,C6
    Octanoic acid,C8 Nonanoic acid,C9 Decanoic acid,C10 Lauric acid,C12
    Myristic acid,C14 Palmitic acid,C16 Stearic acid,C18 Arachidic acid,C20
    L-Lactic acid D-Lactic acid Lipoic acid (contains both L-/D-type) 2-Mercaptoacetic acid
    2-Azidoacetic acid 4-Azidobutyric acid 6-Azidohexanoic acid Propiolic acid
    5-Hexynoicacid Trans-Cinnamic acid Trans-Crotonic acid DBCO
    Methyltetrazine TCO
  • C末端修飾
    Amidation Alcohol
    AMC Bzl
    Cysteamide EDA-Biotin
    Ester (OEt) Ester (OMe)
    Glu(EDANS) Hydrazine
    MPAA NHEt
    Nhisopen NHMe
    TBzl p-Nitroanilide
    Tyr (3-NO2) BSA conjugation on C terminal -COOH
    KLH conjugation on C terminal -COOH OVA conjugation on C terminal -COOH
  • 非天然アミノ酸等、特殊アミノ酸
  • 安定同位体標識ペプチド
    {Arg(13C6,15N4)}
    {Ile(13C6,15N)}
    {Leu(13C6,15N)}
    {Lys(13C6,15N2)}
    {Phe(13C9,15N)}
    {Pro(13C5,15N)}
    {Val(13C5,15N)}
  • 蛍光色素標識ペプチド/FRETペア
    2-Abz (N-Terminal) FITC-Ahx (N-Terminal)
    4-Abz (N-Terminal) FITC-PEG2 (N-Terminal)
    5-FAM (N-Terminal) MCA (N-Terminal)
    5-FAM-Ahx (N-Terminal) Rhodamine B (N-Terminal)
    6-FAM (N-Terminal) AMC (C-Terminal)
    6-FAM-Ahx (N-Terminal) {ACC}
    (7-Aminocoumarin-4-Acetic acid)
    5-TMR (N-Terminal) MCA/Lys(DNP)
    6-TMR (N-Terminal) 2-Abz/Lys(DNP)
    Cy3 (N-Terminal) 4-Abz/Lys(DNP)
    Cy5 (N-Terminal) 2-Abz/Tyr(3-NO2)
    Cy5.5 (N-Terminal) 4-Abz/Tyr(3-NO2)
    Cy7 (N-Terminal) DABCYL/Glu(EDANS)
    Dansyl (N-Terminal) DABCYL/EDANS
    Dansyl-Ahx (N-Terminal)
  • ペプチドとの複合体作製
    BSA (-COOH of C terminal)
    BSA Conjugation on cysteine
    KLH (-NH2 of N terminal)
    KLH Conjugation on cysteine
    OVA (-COOH of C terminal)
    OVA (-NH2 of N terminal)
    OVA Conjugation on cysteine
  • その他(MAPS, PEGylation, 環状化)
    MAPS PEGylation Cyclic modifications Disulfide Bridges Other
    MAPS Asymmetric 2 branches (C-Terminal) {PEG1}
    NH2-(PEG)1-CH2COOH
    Head to tail amide cyclic Random Disulfide Bridge Dimer ( Inter-Disulfide bridge)
    MAPS Asymmetric 4 branches (C-Terminal) {PEG1-propionic acid}
    NH2-PEG1-CH2CH2COOH
    Amide cyclic (Side chain) Mono Disulfide bridge
    MAPS Asymmetric 8 branches (C-Terminal) {PEG2}
    NH2-(PEG)2-CH2COOH
    Stapled peptide(S5/S5) Double Disulfide bridge
      {PEG3}
    NH2-(PEG)3-CH2CH2COOH
    Stapled peptide(R8/S5) Triple Disulfide Bridge
    {PEG4}
    NH2-(PEG)4-CH2CH2COOH
    Mono Thioether Bridge
    {PEG5}
    NH2-(PEG)5-CH2CH2COOH
    Thioester (C-terminal)
    {PEG6}
    NH2-(PEG)6-CH2CH2COOH
    Amide cyclic (Head to side chain)
    {PEG8}
    NH2-(PEG)8-CH2CH2COOH
    Amide cyclic (Side chain to tail)
    {PEG11}
    NH2-(PEG)11-CH2COOH
    {PEG12}
    NH2-(PEG)12-CH2CH2COOH

* For your convenience, modifications can easily be added when you request a quote online. If you don't find the modification you are looking for, feel free to your technical account manager for more information.

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アミド化とアセチル化

ペプチドがタンパク質を構成するアミノ酸シークエンスの場合、C末端のアミド化やN末端のアセチル化により電荷を除去し、天然ペプチドを模倣(アミド、CONH2)することができます。さらに、この修飾によってエキソペプチダーゼにより分解され難くなり安定性が増します。

ビオチン、FITC標識

C末端ビオチン標識では、ペプチドのC末端にリジン残基を付加します。ビオチンはアミド結合によりリジン側鎖に付加され、その結果リジンの正電荷が除去されます。

フルオレセインイソチオシアネート(FITC)は、N末端の蛍光標識に用いる活性化前駆体です。標識を効率化するために、ペプチドのN末端に7原子のアミノヘキサノイルスペーサー(NH2-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-COOH)を付加します。

ジスルフィド架橋

ぺプチドのシステイン残基どうしをジスルフィド架橋することによりペプチドを環状化することができます。ペプチドが多数のシステインを有している場合、ジスルフィド架橋が非特異的に生じるため環状化は通常容易ではありません。弊社では、特定のシステインどうしをジスルフィド架橋する技術を用い、3個までのジスルフィド架橋を形成することができます。

リン酸化

リン酸化ペプチドは、ペプチドやタンパク質のリン酸化による影響、およびプロテインキナーゼによる制御プロセスを調べるために有用です。弊社では、セリン、スレオニン、およびチロシンがリン酸化されたペプチドの多数の合成実績があります。ヒドロキシアミノ酸(1個または複数個)を含むペプチドでは、直交保護やFmoc保護により特定のヒドロキシル基を選択的にリン酸化することができます。

メチル化

タンパク質のメチル化は、転写、細胞分裂、細胞分化など、細胞の機能調節に関与する重要な修飾です。翻訳後N末端修飾はリジンやアルギニンの側鎖で生じます。メチル化タンパク質の代替として作用するペプチドは、タンパク質間相互作用の解明やX線回折による構造解析に有用です。弊社では、モノメチルリジン、ジメチルリジン、またはトリメチルリジンを含むペプチドを純度>98%で合成することができ、他のメチル化を組み合わせたペプチドも合成可能です。

PEG化

PEG化では、高分子物質(抗体、ペプチドなど)にポリエチレングリコール(PEG)を共有結合させます。PEGは非イオン性、非毒性、且つ生体適合性を有する高親水性ポリマーです。PEG化された高分子物質は治療特性が増強されます。これは、疎水性薬剤では溶解性が増すことで生物学的利用能が向上し、抗原性がマスクされることでホストの免疫反応が抑制され、さらに腎クリアランスが低下することにより循環時間が延長される作用によるものです。

同位体標識

NMR測定のための安定同位体によるペプチド標識です。研究において検出に便利な2H、15N、13Cの利用が可能で、15Nと13Cによる二重標識も可能です。標識のご依頼は、オーダー時にアミノ酸配列とご希望の安定同位体を記入し、弊社までご依頼下さい。

MAPS

多重抗原ペプチドは、高力価の抗ペプチド抗体や合成ペプチドワクチンの産生に用いられます。リジンのα-やε-アミノ酸のアミノ基により骨格を形成することで複数のペプチドを結合させることができます。付加されるペプチドの数は、リジンの力価に依存して多様です。この方法では、キャリアタンパク質に抗原を結合させる必要はありません。

BSA、OVA、KLHとの複合体

ペプチドは、単独で免疫反応を誘発するにはサイズが小さ過ぎます。この問題を解決するために、ウシ血清アルブミン(BSA)、オボアルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)などのより大きなキャリアータンパク質をペプチドに結合させます。KLHの利点は、ブロッキング試薬には使用されないため、ELISAやウェスタンブロッティングでの反応を阻害しないことです。一般的な結合方法の1つはマレイミド法です。この方法は、ペプチドのN- またはC-末端にシステイン残基1個を付加することにより、キャリアータンパク質を結合させるものです。

注: KLHは大分子量(MW = 4*105 to 1*107)の凝集タンパク質です。この分子量の大きさとタンパク質構造ゆえに、水には溶け難く懸濁します。しかし、免疫原性に影響はなく、濁った溶液のまま免疫反応に使用することができます。KLHの結合反応後に溶液中に沈殿物が認められた場合は、さらなる懸念を回避するためにペプチド-KLH複合体溶液を冷却梱包します。

出荷条件

すべてのペプチド合成は、弊社の厳格な品質管理によって品質が保証されています。アミノ酸配列、純度、および数量が仕様を満たしていることを確認した製品は凍結乾燥され、QC結果と共にお届けします。

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