クリックペプチド合成サービス

主な特長

ペプチド溶解性の向上

ペプチドの凝集を遅くする

神経変性疾患およびその他のアミロイドーシスを示す疾患におけるβ-アミロイドのダイナミックな生体機能の研究に有用

サービスの詳細

• サービスの特徴
  

  Atsuhiko Taniguchi, Youhei Sohma, et al. Click peptide: Chemical Biology-oriented analogues of Alzheimer's amyloid β peptide 1–42. J. Peptide Science. Nov 2006; 12(12): 823-828

  

  Youhei Sohma, Atsuhiko Taniguchi, et al. Controlled Production of Amyloid β Peptide from a Photo-Triggered, Water-Soluble Precursor "Click Peptide". ChemBioChem. Nov 2008; 9(18): 3055-3065

  

  Hui Wang, Taeko Kakizawa, et al. Synthesis of amyloid β peptide 1–42 (E22Δ) click peptide: pH-triggered in situ production of its native form. Bioorganic & Medicinal Chemistry. July 2009; 17(14): 4881-4887

  

  Taniguchi A, Kiso Y, et al. "Click peptide": pH-triggered in situ production and aggregation of monomer Abeta1-42. ChemBioChem. Mar 2009; 10(4): 710-715

  

  Claudia Balducci, Marten Beeg, et al. Synthetic amyloid-β oligomers impair long-term memory independently of cellular prion protein. PNAS. Jan 2010; doi:10.1073

• 原理

  クリックペプチドは、谷口らによって開発されたO-アシルイソペプチド法を使用して合成されます（図1）。この方法は、特別な合成方法を使用して、ネイティブペプチドに存在するN-アシル結合の代わりにO-アシル結合を組み込む方法です。得られたペプチドは、O-アシルイソペプチドと呼ばれ、ペプチド鎖間の分子内水素結合相互作用が減少するため、溶解性が向上し、ペプチドの自己組織化が最小限に抑えられます。 また、クリックペプチド溶液のpHを7.4以上に調製すると、急速にO-アシル結合からN-アシル結合への変換が誘発され、クリックペプチドがネイティブな状態に急速に変換されます。クリックペプチドがネイティブペプチドに変換されても副産物は放出されないため、in vitroおよびin vivoの生化学的な実験に非常に有益です。

  

  図1：pH変化によるクリックペプチドから天然型ペプチドへの変換

  参考文献

  Atsuhiko Taniguchi, Youhei Sohma, et al. Click peptide: Chemical Biology-oriented analogues of Alzheimer's amyloid β peptide 1–42. J. Peptide Science. Nov 2006; 12(12): 823-828

• 事例

  我々は26-O-アシルβ-アミロイド（1-42）クリックペプチドの合成に成功しました。本手法はヒドロキシル基含有アミノ酸残基において、本来のαアミノ酸のアシル化(ペプチド結合)の代わりに、側鎖であるβヒドロキシル基をアシル化(エステル結合)するもので、このエステル結合は、pH依存的にO→N分子内アシル転移を25位グリシン-26位セリンの間で起こします。 （t1 / 2 = 10秒、pH7.4、37℃）このpHがトリガーとなる変換（pHクリック）により、非凝集性で水溶性の前駆体（クリックペプチド）は、生理学的条件下（pH7.4、37℃）でランダムコイル構造のモノマーを生成できます。

  
  

  

  図2：β-アミロイド（1-42）クリックペプチド

  結果

  • クリックペプチドによるβアミロイド前駆体は、15 mg/mlの溶解性を持つ一方、ネイティブなペプチドの溶解性は0.14 mg/mlであった
  • ペプチドの凝集性は有意に低下
  • O-アシル部位は酸性下で安定。

  以下はクリックペプチドから変換された精製βアミロイド(1-42)ネイティブペプチド(図3)およびβアミロイド(1-42)クリックペプチド(図4)のHPLCの結果です

  

  （図3）クリックペプチドから変換された精製βアミロイド(1-42)ネイティブペプチドのHPLCの結果

  
  
  

  （図4）26-O-acyl β-アミロイド(1-42) クリックペプチドのHPLCの結果