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弊社では、厳しく管理された高い基準の品質管理によりペプチドを受託合成しています。ペプチドの製造施設はISO 9001認証された総合的品質管理(TQM)に準拠しています。このプラットフォームでは、ペプチドの精製とQCプロセスの各段階で質量分析(MS)と高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による品質検査を3回繰り返すことにより品質を確保しています。TQMの最終段階では、品質に関する最終の出荷前確認を実施し、各ペプチドに対する品質を検証(QA)しています。
TQMプラットフォーム
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ペプチドの品質信頼性と合成再現性をより確実にするための品質管理に関してはAccuPepQCのwebpageをご覧下さい。 |
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弊社の研究室からお客様の研究室までカスタム ペプチドの完全性をどのように維持するに関してはArgonShield™ packing service webpageをご覧下さい |
精製を繰り返しても、合成ペプチドの最終産物中に少量の不純物が残存している可能性があります。このため、合成したペプチドはすべて逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)により純度分析を行っています。
RP-HPLCは広範に使用されている分析装置で、試料中に混在する成分を分離することができます。通常は試料を水に溶かして装置にかけますが、溶解補助に有機溶媒や酸を混和させることもあります。被験物質は、水と有機修飾剤からなる移動相に乗って運ばれ、特定の長さの炭素鎖で表面処理された多数微小粒子が充填されたカラムの固定相を流れていきます。その際、被験物質(この場合、合成ペプチドと混在する不純物)は疎水性の固相表面に吸着されます。移動相中の有機修飾剤の濃度が上昇するにつれ、被験物は固定相から脱着して溶出されます。脱着は試料成分の特性に依存するため、成分ごとにカラム内の滞在時間が異なります。この滞在時間はリテンションタイムと呼ばれています。ペプチド結合は紫外線波長220nmで吸光度が最大値になるため、RP-HPLCでカラムから溶出されるペプチドは、紫外線分光光度計によりこの波長で検出します。検出された信号は、UV吸収と溶出時間を指標とするクロマトグラフに記録されます。
溶出ペプチドのクロマトグラフィーによる解像度は使用するカラムや有機修飾剤などに依存しますが、とりわけ溶出勾配に大きく左右されます。ペプチド生産においては、カラムの性能を最大化する理論段数を定期的に確認しており、さらに種々のペプチドを分離するためにそれぞれに対応した溶出勾配を確立しています。これらのプロセスは、最高の解像度を得るためにペプチドの受託合成ごとに行われています。弊社では、受託合成ペプチドの分離効果を高め、純度の測定精度を最大化するために、RF-HPLCによる分離精製プロトロールの改良に特別な注力をしています。
弊社では、ターゲットペプチドの分子量測定にESI-MSを使用しています。
ESI-MSは高分子試料を分析するための装置で、イオン化した試料それぞれの質量電荷比(m/z)を測定します。広範に使用されているソフトイオン化法の1つで、エレクトロスプレーにより高分子がフラグメンテーションされることなく、溶液中の試料をイオン化します。この結果、高分子の正確な分子量を確実に測定することができます。通常、ペプチドは酸性残基や塩基性残基の数により正負いずれかの電荷にイオン化されます。
イオン化ペプチドは、質量分析装置(四重極型またはTOF型)にかけてm/z比により電荷イオンを分離します。各イオンは電子増倍管によりシグナルが増幅され、最終的に縦軸にイオン強度、横軸に質量(m/z値)をプロットしたマススペクトログラムとしてアウトプットされます。このスペクトルには、検出された全イオンの相対強度(m/zピーク最高値を100%とした比率)と質量が示されます。殆どのペプチドでは電荷状態が複数存在するため、スペクトログラムに複数のm/zピークが現れます。理論上、これらのm/zピーク値は計算上の分子量と同じになるはずですが、実際には検出装置の限界解像度のため数値が僅かに異なります。弊社のMSレポートでは、最も大きなm/z値を使用して分子量を算出することにより、装置により生じる誤差をできるだけ排除しています。また、弊社では質量分析装置のクリーニングとキャリブレーションを定期的に行うことにより、測定データの正確度と再現性を確保しています。