【シンガポール2020年5月21日PR Newswire=共同通信JBN】
*世界初の「迅速スマート検査キット」として、1時間で中和抗体を測定できるcPass(TM)は、接触者追跡、血清陽性率調査、集団免疫、防御免疫の持続期間、さまざまなワクチン候補の有効性の評価など、現在のCOVID-19研究への大きな後押しになる。
*cPass(TM)は従来の検査キットと異なり、検査のために生きている生体物質やバイオセーフティーの封じ込めを必要としないため、グローバルコミュニティーにて利用可能。
*この検査は、全ての抗体アイソタイプに適しており、組み換えなしでさまざまな動物種の抗体の判定に使用できるため、ワクチンや治療法の開発の役に立つ。
研究集約的学士入学医科大学院のデュークNUS医科大学院(Duke-NUS)、世界有数のバイオテクノロジー企業であるGenScript Biotech Corporation(「ジェンスクリプト」、証券コード:1548.HK)、およびシンガポール科学技術研究庁(A*STAR)の診断開発部門(DxD)は2020年5月15日、サロゲートウイルス中和検査(sVNT)あるいはcPass(TM)として知られる独自の血清学的コロナウイルス(COVID-19)検出システムを共同で開発、製造するための独占契約を発表した。この検査は、生きている生体物質や生物学的封じ込め施設を必要とせずに、ウイルス感染の除去に寄与するCOVID-19患者の血清に存在する特異抗体である中和抗体(NAb)の迅速な検出を可能にする世界初のものである。cPass(TM)検査キットは、シンガポール健康科学庁(HSA)の暫定認可と診断用のCEマークを取得している。
研究室ベースのCOVID-19抗体検査キットは数多く市販されているが、これは機能的NAbを測定できる初めてのものである。簡易な検査キットがなければ、NAbsの測定には、生きているウイルス、細胞、高度なスキルを持つオペレーター、さらに一般的に感度が低く結果を得るのに数日かかる複雑な検査法を使う必要がある。対照的にcPass(TM)は、ほとんどの研究室または臨床検査室で1時間以内に迅速に実施でき、最小限の適応を経てハイスループット・完全自動化検査にも対応できる。この検査は、接触者追跡から感染率の判定、集団免疫、体液防護予測まで、現在のCOVID-19研究にも役立つ。
Duke-NUSの新興感染症プログラムのディレクターであるワン・リンファ教授とチームは今回の研究を考案し、cPass(TM)診断検査を発明した。チームは、シンガポールでアッセイの開発と試験も実施した。
ジェンスクリプトは実証概念の研究、製品の設計、開発、最適化のステップを経て、現在、同社のグローバルネットワークと製造能力を活用し、シンガポールや世界の他の地域でcPass(TM)を立ち上げるための商業化プロセスにおいて中心的役割を果たしている。
DxD Hubは、A*STARの商業化部門であるA*ccelerateが主導する国家戦略である。このsVNTを市場に出すため、DxD Hubは臨床サンプルでキットを検証して製造プロトコルと品質管理を開発し、健康科学庁の暫定認可を得た。DxD Hubは、シンガポールの病院で使用するパイロットバッチも製造する。大規模生産のため、このノウハウを地元のバイオテクノロジー企業に移転する計画がある。
今回のコラボレーションの主任研究員であるワン・リンファ教授は「われわれのチームが開発したcPass(TM)は、接触者追跡、病原体保有あるいは媒介動物の追跡、集団免疫、防御免疫の持続期間、さまざまなワクチン候補の有効性の評価に使用できる。これはバイオセーフティー封じ込め施設を必要としないため、多くの発展途上国を含むグローバルコミュニティーですぐに利用できる」と語った。新型人畜共通ウイルスに関して国際的に最も認められた専門家の1人である同教授は現在、COVID-19に取り組んでいる世界保健機関(WHO)の複数の委員会のメンバーである。
Duke-NUSの上級副研究部長であるパトリック・ケイシー教授は「Duke-NUSはジェンスクリプトならびにDxD Hubと提携し、この新たな検出システムでCOVID-19の血清学の課題に対処できることは非常に喜ばしい。これはCOVID-19研究の分野に大変革をもたらす可能性がある」と語った。
Duke-NUSの学長のトーマス・M・コフマン教授は「本学の研究者によって開発されたこの革新的プラットフォームは、人々がSARS-CoV-2ウイルスに対する免疫をどれほど幅広く獲得しているかを判定するための迅速かつ信頼性の高い調査に極めて有用である。ジェンスクリプトおよびDxD Hubとのパートナーシップは、われわれがこの世界的なアウトブレークとの闘いで協力していく上で補完的な強みとなる」と語った。
ジェンスクリプトの最高戦略責任者であるジュ・リ博士は「ワン教授が開発した血清学的検出システムは独創的かつ革新的で、高い感度と特異度、全ての抗体アイソタイプへの適用性などの多くの利点がある。検査結果は、人々がSARS-CoV-2ウイルスに対する免疫をどれほど幅広く獲得しているかを判定するための迅速かつ信頼性の高い調査に極めて有用であるため、政府が仕事再開を指示する上で大きな助けになる。中和抗体の検出で、誰がより安全に仕事や社会生活に復帰できるかが分かる。Duke-NUSおよびDxD Hubとのパートナーシップは、この緊急の世界的ニーズを満たすべく研究・開発と製造能力の強化に向けてわれわれが取っている幾つかの積極策の1つである」と付言した。
ジェンスクリプトのアジア太平洋地域プレジデントであるジョンソン・ワン氏は「ジェンスクリプトは近年、社内の販売組織だけでなく、市場アクセス、マーケティング、流通のための他の商業的機能も活用することで、シンガポール市場へのサービス提供を始めた。アジア太平洋地域の研究施設全体で盛況なイノベーションの文化に参加できるのは非常にうれしい。パートナーシップは、互いの能力、専門知識、リソースを最大限に活用することが狙いであり、それによって、われわれはコミュニティーにより良いサービスを提供することができる」と語った。
ジェンスクリプトのライフサイエンスグループ・プレジデントであるシェリー・シャオ氏は「Duke-NUSとのコラボレーションは、世界の産業界と学界が物事を成し遂げるためにいかに協力しているかを示す重要な1例である。われわれは分子生物学、タンパク質科学、免疫学の先端技術を活用し、ウイルスのマッピング、検出、治療、ワクチン開発でパートナーを支援している。ジェンスクリプトは世界と共にパンデミックとの闘いに取り組んでいる」と語った。
DxD Hubの最高経営責任者(CEO)であるシドニー・イー博士は「DxD Hubは、診断キットを作業台からベッドサイドに持ち込む際にエンドツーエンドの専門知識を提供するシンガポールの国家プラットフォームとして、Duke-NUSおよびジェンスクリプトとのコラボレーションへの参加を誇りに思っている。この革新的なcPass(TM)診断キットは、世界的なパンデミックとの闘いをサポートするのに役立つだろう」と語った。
cPass(TM)アッセイは、シンガポール国立感染症センターがコーディネートした新型病原体の検出と新興感染症の特性明示のための多角的予測研究であるPROTECTの患者サンプルで検証された。
Duke-NUSは、デューク大学医科大学院とシンガポール国立大学(NUS)という2つの世界クラスの機関の戦略的かつ政府主導のパートナーシップにより2005年に設立されたシンガポールの代表的な学士入学医科大学院である。Duke-NUSの学生は革新的なカリキュラムを通じ、シンガポールやその他地域の医療と生物医学エコシステムのかじ取りをする構えのできた多面的な「Clinicians Plus(臨床医プラス)」になるよう養成されている。画期的な研究とトランスレーショナルイノベーションのリーダーであるDuke-NUSは、5つの特徴的な研究プログラムと8つのセンターを通じて国際的な名声を得ている。その発見の永続的な影響は、シンガポール最大の医療グループであるシンガポール・ヘルスサービス(SingHealth)との学術医学パートナーシップの成功によって拡大されている。この戦略的提携は、学際的な研究と教育を医学の変革と生活の改善に生かす15の学術臨床プログラムを生み出している。
詳しい情報はwww.duke-nus.edu.sg を参照。
ジェンスクリプト(証券コード:1548.HK)は世界的なバイオテクノロジーグループである。優れた遺伝子合成技術をベースに、ジェンスクリプトは、グローバル細胞療法プラットフォーム、バイオ医薬品受託製造開発機関(CDMO)プラットフォーム、受託研究機関(CRO)プラットフォーム、工業合成製品プラットフォームの4大プラットフォームを開発した。
ジェンスクリプトは2002年に米ニュージャージー州で設立され、2015年に香港証券取引所に上場された。ジェンスクリプトの事業展開は世界の100以上の国・地域に広がり、米国、中国本土、香港、日本、シンガポール、オランダ、アイルランドに法人がある。ジェンスクリプトは、10万を超える顧客に、高品質かつ便利で信頼性の高い製品とサービスを提供している。
ジェンスクリプトは、100以上の特許や270を超える特許出願を含む多くの知的財産権と技術機密を有している。2019年12月31日現在、ジェンスクリプトの製品とサービスは、世界中の4万2200の論文審査のある専門誌の記事に引用されている。
詳しい情報はwww.genscript.com を参照。
科学技術研究庁(A*STAR)はシンガポールの主要な公共部門の研究・開発機関であり、科学的発見を推進し、革新的技術を開発するための経済志向の研究を先導している。オープンイノベーションを通じ、同庁は社会に役立つため、公共および民間部門のパートナーと協力している。A*STARは科学技術機関として、学界と産業界のギャップを埋めている。同庁の研究は、シンガポールのために経済成長と雇用を創出し、医療、都市生活、持続可能性における成果の向上などの社会的利益に貢献することで生活を向上させる。同庁は、同庁や研究機関、より幅広い研究コミュニティーや業界における多様な人材やリーダーの育成、開拓に重要な役割を果たしている。A*STARの研究・開発活動は生物医科学、物理科学、工学に及び、研究機関は主にバイオポリスとフュージョノポリスにある。現行のニュースはwww.a-star.edu.sg を参照。
ソース:Genscript