カスタムscFv 産生サービス
弊社の受託scFv産生サービスでは、完全カスタムによりマウスとウサギいずれのscFv領域も産生しています。弊社が有する高信頼性のハイブリドーマ作製技術、最高水準の抗体遺伝子のシークエンシング、そしてリコンビナント抗体の発現技術を組み合わせることにより、極めて特異性が高いscFv領域を産生しています。このscFv産生サービスでは、種類を問わず様々な抗原を用いた免疫を行っており、さらに、使用用途に最適な品質を確保するための複数の出荷形態も用意しています。
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ハイブリドーマを用いたウサギscFv産生
バイブリドーマ作製技術と遺伝子組換え技術のコンビネーション
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製品の様々な出荷形態
scFv遺伝子シークエンス、プラスミド、精製scFvフラグメントの各形態で出荷
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個別の要望に応じた抗原産生
過剰発現細胞株の選択:タンパク質またはDNA免疫法により免疫し樹立
GenScriptのScFvパッケージの概要
動物種 | 免疫原 | QC | 納期目安 | 納品物 |
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Rabbit (2-4) | タンパク質(GenScriptにて作製、もしくはクライアント提供) | ELISA | 4~5か月 |
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Mouse (5) | タンパク質(GenScriptにて作製、もしくはクライアント提供) | ELISA | 3~5か月 |
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Mouse (10) | タンパク質(GenScriptにて作製、もしくはクライアント提供) | ELISA & FACS | 4~6か月 | |
Mouse (10) | DNA(クライアントよりシークエンスを提供)&過剰発現細胞株(クライアント提供) | FACS | 5~7か月 |
scFvに関する詳細は以下をご覧下さい。
scFvフラグメントは、重鎖(VH)と軽鎖(VL)から構成される抗体鎖の一部分で、この両鎖は15~20アミノ酸のペプチドリンカーにより結合しています。scFv領域の各サブユニット(VHとVL)には3つの相補する超可変領域(CDR)が存在しており、抗原との結合を担っています。このため、この分子量わずか25 KDaほどのscFvが、IgG分子内において抗原との結合活性全般に関与する最小単位であると考えられています。

完全長のmAbや他の抗体フラグメントと比べ、scFvを使用することで得られる重要な利点があり、近年、科学研究の分野で広範に使用されています。以下に主な利点を示します。
- 組織への導入率が高い
- 血中クリアランスが早い
- 免疫原性が低い
- ウイルスや細菌を使用した発現系で発現レベルが高い
- 腎臓での代謝に依存しない
近年、scFvはその有益な属性により様々な用途での有用性が認識されてきました。
- In-Vivo 診断
- scFvは小分子であることから、遺伝子操作により放射性同位体、量子ドット、ナノ粒子などに結合させ、非侵襲性ツールとして利用することができます。これにより、in vitro試験で特定ターゲットの局在や分布を可視化することが可能になります。
- scFvはアフィニティーレベルが維持されていながらクリアランスが迅速なため、長時間曝露が組織に有害となる放射性同位元素も使用可能となり、放射線による画像診断に利用できます。
- 蛍光色素標識scFvでは、完全長のmAbを使用した場合にin vivoで到達困難なターゲットでも、比較的容易に可視化することができます。
- ドラッグデリバリー
- scFvの特異的なターゲット認識能力と高発現ウイルスベクターを組み合わせることにより、薬物、siRNA、および免疫細胞や癌細胞にとっての有害物質の送達に有用なツールになります。
- 遺伝子操作により、scFvをウイルス外殻や非ウイルス発現系の表面に付加することにより、薬物送達をターゲティングすることができます。発現されたscFvがターゲットに結合することにより、発現系に保有された薬物が送達されます。
- scFvは、細胞内に埋め込まれた特定ターゲットや非検出ターゲットへの薬物送達においても使用されています。
- 治療
- CAR-T(Chimeric Antigen Receptor – T細胞)免疫療法:T細胞表面に腫瘍細胞特異的抗原をターゲットとするscFvを発現させ、免疫腫瘍効果を誘発する治療法に応用されています。
- 代謝介入:分子的機序を阻害または活性化する手段としてscFvが使用されています。
- 固形癌:標準的mAbによる免疫療法は、組織への浸透性の問題から有効ではないことがあります。scFvは固形癌細胞内に侵入することが可能なため、薬物送達のターゲティングや免疫療法への応用が可能となります。