MonoRab™プラットフォームによる完全受託サービス基礎研究用および診断用の高特異性ウサギmAbを産生
MonoRab™を使用することにより、抗体反応性が大幅に改善された、高感度で特異性に優れたウサギのモノクローナル抗体を作製することが可能になります。げっ歯類を用いて作製された抗体のアフィニティーは通常nMレベルですが、MonoRab™抗体ではpMレベルのアフィニティーを有する抗体を産生することが可能なため、高い希釈率でも抗原抗体反応において強力な結合が維持されます。
MonoRab™では、免疫原性が不充分な小分子や膜貫通型タンパク質、さらには極めて類似した抗原に対しても、高品質のmAbを産生することが可能です。MonoRab™では、高い特異性と多様性を有する抗体産生が可能なため、非特異的なターゲットに対する交叉反応が限定的な抗体が得られ、免疫組織学(IHC)、免疫蛍光(IF)、免疫細胞化学(ICC)などへの応用において優れた結果が得られます。
フェーズI:MonoRab™によるウサギmAbの受託作製では、最初に最適な免疫原(ペプチド、DNA、細胞株、あるいは目的抗原と同等の物質)を用いたウサギの免疫を行います。お客様から精製した免疫原を提供して頂くことが困難な場合は、弊社で目的の免疫原を遺伝子組換えにより産生することもできます。
フェーズII:免疫したウサギに対し、血漿のELISAスクリーニングで高力価を示す陽性反応が得られるまで、ブースト、免疫個体選定、ELISAスクリーニングの工程を繰り返し実施します。高力価血漿が得られた後、ポリクローナル抗体を精製し、その抗体の評価試験をクライアント独自の組織サンプルを用いて弊社にて実施します。このIHC染色による抗体の特異性とシグナル強度に基づき最良のクローンを選択し、細胞融合を実施します。IHCによる評価で期待した結果が得られなかった場合は、さらにブーストを繰り返します。
フェーズIII:免疫で得られた血漿のスクリーニングが完了した後、免疫を行ったウサギ3個体からB細胞を分離し、エレクトロフュージョンによりマウスミエローマ細胞とのハイブリドーマ細胞を作製します。その後、得られた3種類のハイブリドーマ細胞をサブクローンします。これらのクローンは、その培養上清を用いて弊社およびお客様によりELISAスクリーニングにかけます。
フェーズIV:目的のmAbを産生するクローンB細胞を選択し、そのB細胞の可変領域遺伝子をシークエンシングします。
フェーズV:可変領域遺伝子のシークエンシング結果を用い、リコンビナント抗体を発現・精製するタンパク質発現系により目的のmAbを作製します。
提供品内容: Abシークエンシング結果報告(≤10報)、最終選択クローンの培養上清5 mL/ポジティブクローン細胞(≤10種類)、試験証明書 精製抗体1 mg/クローン、(pAbによるIHC試験結果の写真は細胞融合前に提供)
以下は、IHC実験工程を簡潔にまとめ図式化したものです。まず、組織切片を、抗原への特異的結合が確認されている1次抗体とインキュベーションします。次に、シグナルを増強するための2次抗体を1次抗体に結合させます。その後さらに、HRPなどの可視化用プローブを付加した3次抗体を2次抗体に結合させます。最後に、抗原の量や局在を確認するために可視化プローブを活性化します。
Technical manual for IHC method
フェーズII:免疫したウサギに対し、血漿のELISAスクリーニングで高力価を示す陽性反応が得られるまで、ブースト、免疫個体選定、ELISAsクリーニングの工程を繰り返し実施します。高力価血漿が得られた後、ポリクローナル抗体を精製し、その抗体の評価試験をクライアント独自の組織サンプルを用いて弊社にて実施します。このIHC染色による抗体の特異性とシグナル強度に基づき最良のクローンを選択し、細胞融合を実施します。IHCによる評価で期待した結果が得られなかった場合は、さらにブーストを繰り返します。
弊社では、細胞融合によりハイブリドーマ細胞を作製する前に、ポリクローナル抗体の特性を確認するためにIHC/IF試験を実施します。この試験では、クローン細胞の培養上清中の抗体が期待通りの結合能を有していることを確認します。
図1. サルの肝組織におけるウサギとマウスの抗βアクチンmAbの比較。
弊社のβアクチンに対するマウスmAbおよびウサギmAbについて、各抗体の組織試料への結合を抗マウス568抗体(A)と抗ウサギFITC抗体(B)で可視化し、mAbの特異性を直接比較。共局在の写真(C)ではウサギmAbの結合が確認され(白矢印)、マウスmAbよりウサギmAbの結合能力が優れていることを示しています。
図2. サルの肺組織におけるウサギとマウスの抗βアクチンmAbの比較。
弊社のβアクチンに対するマウスmAbおよびウサギmAbについて、それぞれ抗マウス568抗体(A)と抗ウサギFITC抗体(B)で可視化しmAbの特異性を直接比較。共局在の写真(C)ではではウサギmAbの結合がより多く確認され(白矢印)、マウスmAbと比較してウサギmAbが極めて高いアフィニティーを有していることを示しています。
図3. サルの心筋におけるウサギ抗βアクチンmAbと他社同等品との比較。
弊社のウサギ抗βアクチンmAb(A)と他社のウサギ抗βアクチンmAb(B、C)を使用し、Nova-redで可視化してmAbの特異性を直接比較。弊社ウサギmAbが極めて高い感度を有していることが分かります(青矢印)。特異性に関する他社品との比較(C)では、他社品では心筋の異なるアイソフォームとも結合していることが認められます(黄矢印)。
図4. 弊社のウサギアイソタイプのコントロールIgGは、組織に対する非特異的によるバックグラウンドがありません(A)。Bは、ウサギ抗βアクチンmAbを用いてサル心筋組織を染色した結果です。